慢性的な膝の痛みで悩んでいる人や、整形外科などの医療機関に通院しても症状の回復が一向に見込めないという人も多いのではないでしょうか?
膝の疾患は運動不足による大腿四頭筋を中心とした筋力低下やO脚などによって、膝に過度な負担が掛かり筋肉や靭帯、関節内にある関節軟骨などの組織に損傷による炎症反応が誘発され発症します。膝痛を放置すると保存療法ができない程に病気が進行し、手術療法が必要となるケースもあるため注意が必要です。
今回は膝の痛みに悩んでいる方に向けて、疑いのある6つの疾患や痛みの原因、おすすめの予防法と対処法について解説します。膝の急な痛みや慢性痛で悩んでいる方はぜひチェックしてみてください。
膝が痛いときの代表的な疾患【症状や原因】
膝が痛いときの代表的な疾患の症状や原因について解説します。ご自身の痛みがどの疾患に分類される可能性があるのかをチェックしてみましょう。
疾患 |
症状・痛みの種類 |
発症しやすい人・状況 |
変形性膝関節症 |
膝のこわばり・鈍い痛み(初期) 歩くときに膝のきしむような音がする(中期) 歩いたり座ったりする日常動作が困難(末期) |
高齢者 (特に高齢の女性) |
半月板損傷 |
膝の曲げ伸ばしで引っかかりが出現(軽度) 膝に水が溜まって腫れる(重度) 膝に激痛が走り歩行困難(重度) |
スポーツ選手 高齢者 しゃがみ仕事 |
関節リウマチ |
関節の痛み、こわばり、腫れ、動かしにくさ 指や手首に多く発症(初期) 関節の変形や脱臼、拘縮、硬直(末期) |
40~60代の女性 |
膝靭帯損傷 |
膝の痛み、腫れ、熱感、可動域制限(急性期) 歩行困難(急性期) |
スポーツ選手 力仕事 |
オスグッド病 |
脛骨結節の痛み、腫れ、隆起、熱感 歩行やスポーツ時の痛み |
小学校高学年~中学生の男子 |
鵞足炎 |
膝の曲げ伸ばし時の痛み 歩行や階段の上り下りが困難(重度) |
スポーツ選手 |
変形性膝関節症
【概要】
膝関節の変形やクッションになる軟骨がすり減り膝に炎症を起こす疾患です。高齢の女性に多く発症します。
【症状】
初期は動作時の軽度の痛みやこわばり程度ですが、中期の症状は膝を曲げる動作や階段の上り下り、しゃがみ動作などで痛みが出現し、炎症によって膝の腫れや熱感が出ることもあります。
最終的には、歩行が困難な痛みや安静時疼痛などの重度の症状が出現します。初期や中期に比べて、精神的な負担も一気に大きくなりやすいです。骨壊死を発症する危険性もあるため、早期に医療機関を受診しましょう。
【原因】
加齢による関節や軟骨の変形が主な原因です。また、肥満や遺伝、外傷(骨折・靱帯損傷・半月板損傷など)などが起因となる場合もあります。
【治療・対処】
体幹~下肢を中心にストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法を行い、筋肉や関節の機能を向上させます。症状が強い場合は、内服薬や湿布による薬物療法を行うことで、痛みをコントロールすることが大切です。日常生活に支障をきたす重度の症状では、医師の診断によっては手術が検討されます。
半月板損傷
【概要】
膝の関節内にある半月板に亀裂が生じることや、部分断裂して欠けた状態を指す疾患です。膝の関節内に左右ある半月版はクッションの役割があり、膝への衝撃を分散・吸収する保護の働きをします。
【症状】
膝の曲げ伸ばし動作で引っかかりなどの違和感が生じ、重度の場合は膝に水が溜まって腫れ、膝に激痛が走り歩行困難となる可能性があります。半月板が挟まることで、膝がある角度から痛みで動かせなくなる症状を「ロッキング」と呼びます。
【原因】
ラグビーやアメリカンフットボール、バスケットボール、サッカーといった、膝の曲げ伸ばしやしゃがみ込み動作など、半月板に圧迫力や摩擦力の負荷が掛かる動きをする激しいスポーツでの発症リスクが高いです。また、加齢による半月板の変性も原因となります。
【治療・対処】
半月板は血流が乏しいため、自然治癒による回復が難しい組織です。よって日常生活に支障のあるケースでは、損傷した部位の切除や縫合などの手術療法が選択される場合が多いです。症状に応じて、痛みや炎症を抑えるための内服薬や湿布が処方されます。
関節リウマチ
【概要】
関節内の滑膜という組織が異常増殖することで炎症を生じ、病気が進行すると関節の変形や破壊を生じる女性に多い自己免疫疾患です。
【症状】
関節の痛み、こわばり、腫れ、関節の動かしにくさなどの症状が誘発されます。指や手首に発症することが多く、進行と共に関節の変形や脱臼、拘縮、硬直を生じ、日常生活に支障をきたします。
【原因】
免疫機能に異常が生じ、自分自身の関節を攻撃する疾患です。原因は不明ですが遺伝や環境要因の関連性が考えられています。
【対処・治療】
薬物療法を中心にリハビリテーションや基礎療法を行い、重度の場合は手術が選択されます。
膝靭帯損傷
【概要】
膝の関節内には大腿骨と脛骨間に前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯という4つの靭帯が存在し、膝の安定性を保つ機能を担っています。膝靭帯損傷は、これらの靭帯に過度な外力が加わることで発症します。
【症状】
急性期では膝の痛み、腫れ、熱感、可動域制限を生じ、歩行が困難な場合が多く松葉杖を処方されることがあります。軽症~中等度の損傷で手術適応とならない場合は、徐々に痛みや腫れが軽減して歩行が可能となります。しかし、靭帯の損傷によって膝の不安定性を生じてしまい、半月板損傷などの二次的な疾患が誘発されるリスクが高まります。
【原因】
スポーツや日常生活などで大きな外力が膝に加わることで、膝の靭帯に過度な負荷が掛かり靭帯を損傷します。
【対処・治療】
保存療法では可動域訓練や筋力トレーニングなどのリハビリテーションや、装具療法、物理療法を行います。重度の損傷では靭帯を再建する手術が選択され、術後には長期的なリハビリテーションが必要となります。
オスグッド病
【概要】
膝のお皿(膝蓋骨)の下にある脛骨結節と呼ばれる骨が飛び出してくることで痛みを生じます。小学校高学年~中学生の男子に多くみられます。
【症状】
脛骨結節の痛み、腫れ、隆起、熱感が主な症状で、膝を動かす動作やスポーツ時に症状が誘発されます。
【原因】
大腿四頭筋を中心とした膝を伸ばす力の繰り返しで脛骨結節が引っ張られ、成長期に存在する軟骨が剥離することで発症します。サッカーやジャンプ動作を繰り返すスポーツに多くみられます。
【対処・治療】
成長期にみられる一時的な症状で、成長と共に症状が改善します。大腿四頭筋を中心とした股関節周囲のストレッチやマッサージなどのリハビリテーションを行います。また、アイシングによるケアやサポーターによる保護も効果的です。
鵞足炎
【概要】
鵞足は膝のすぐ下の内側に存在し、腿からの下りてくる3つの筋肉の腱が付着しています。鵞足炎ではこの腱に炎症が生じることで発症します。
【症状】
膝の曲げ伸ばしをする動作時に鵞足部に痛みを生じ、重度の場合では歩行や階段の上り下りが困難なケースがあります。
【原因】
膝の使い過ぎや膝を曲げ伸ばしする過度なスポーツが原因となり発症します。鵞足に付着する腱が、膝の曲げ伸ばし時に摩擦を受けることで炎症を起こし発症します。
【対処・治療】
保存療法で治療が行われ、炎症に対しては安静と共に消炎鎮痛剤などの薬物療法が適応されます。また、ストレッチやマッサージ、筋力トレーニングだけでなく、鵞足部に負担が掛からないように、歩行やスポーツ動作の改善などといったリハビリテーションも行われます。
膝が痛いときに試したいおすすめの対処法
膝の痛みが出現した際に効果的なおすすめの対処法についてご紹介します。痛みで悩んでいる方はぜひ試してみてください。
安静にする
膝の痛みを感じたら、先ずは膝をなるべく動かさないように心掛け、安静にすることが重要です。膝の使い過ぎで痛みを生じている可能性もあり、負担の掛かる運動や動作はなるべく回避し、装具やサポーターによる膝の保護もおすすめの対処法です。
冷やす・温める
膝が腫れて熱感があるときは、氷のうや氷枕などでアイシングすることがおすすめです。また、腫れや熱感が治まった場合は、お風呂の湯船に浸かることや蒸しタオルなどを用いることで温めます。痛みの無い範囲で膝を少しずつ曲げ伸ばし、筋肉内の血行を促すことも効果的です。
整体院の施術を受ける
医療機関に通院しても改善が見込めない場合は、整体院で施術を受けることをおすすめします。整体院では施術、骨盤ケア、ストレッチ等から膝の痛みにアプローチするだけでなく、セルフケアのアドバイスがもらえます。
最後に
今回は膝が痛い方に向けて、原因や対処方法について解説しました。前述したように膝の痛みと関連のある疾患は多くあり、まずは医療機関に通院して、適切な診断と治療方法、対処方法の選択が非常に重要となります。痛みのある方は安静やアイシングを心掛け、症状に合わせてストレッチや筋力トレーンイング、ウォーキングといった、軽めの運動を痛みの無い範囲で行いましょう。
慢性的な痛みや、医療機関に通院しても症状が改善せずに悩んでいる方は、ぜひ整体院にご相談して自宅でできるセルフケアを試してみてください。